Sunday, July 10, 2005

「蛙」 林芙美子 その3

「その2」がこの短編お話の始まりで、これ(その3)がラストです。
昔は蛙が生活の身近にいたとはいえ、いつでも蛙がみつかったわけではなく庭とかまして屋内で蛙を見つけた時の驚きは今でも覚えているほど大きかった。息をひそめてじーっと見て...............そして一瞬のうちに逃げられた。

*「蛙」 林芙美子より抜粋*

蛙は疲れているのか、道ばたに呆んやりつくばったままでいますので、より江はひしゃく[#「ひしゃく」に傍点]に水を汲(く)んでぱさりと、蛙の背中に水をかけてやりました。蛙はびっくりして、長く脚を伸ばして二三度飛びはねてゆきましたが、より江がまばたきしている間(ま)に、どこかへ隠れてしまったのか煙のように藪垣(やぶがき)の方へ消えて行ってしまいました。
 乗合自動車が地響をたてて上がって来ました。おじさんは、
「さァて、山へ行くかな……」
 そう云って立ちあがりますと、より江のお母さんは、赤い旗を持って土間へ降りてゆきました。より江もひしゃく[#「ひしゃく」に傍点]を持ったままお母さんの後(あと)へついて、表の陽向(ひなた)へ出て行(ゆ)きました。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/3047.html

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