Sunday, July 10, 2005

「蛙」 林芙美子 その2

暗い晩で風が吹いていました。より江(え)はふと机から頭をもちあげて硝子戸(ガラスど)へ顔をくっつけてみました。暗くて、ざわざわ木がゆれているきりで、何だか淋(さび)しい晩でした。ときどき西の空で白いような稲光(いなびか)りがしています。こんなに暗い晩は、きっとお月様が御病気なのだろうと、より江は兄さんのいる店の間(ま)へ行ってみました。兄さんは帳場の机で宿題の絵を描(か)いていました。
「まだ、おッかさん戻らないの?」
「ああまだだよ。」

http://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/3047.html

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

「きっとお月様が御病気なのだろう、・・」 こんな表現があったんですね。

Originally Posted by Nakk

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